がらーん

 夜中から午前中にかけて、風もないのにおそろしく寒かった。空気がキンキンに冷えて凍えそうだった。

 さて、きのう、「日記に書くことがない」と言ったが、じつはそんなことはなかった。おととい、ギターの葉山さんと谷川兄弟の弟のほうのタニちゃんが時を置いてやってきたのであった。葉山さんは今回も都内での仕事終わりで大阪へ戻る前に、そしてタニちゃんはタバコをふたつ買ってきてくれた。
 そして昨日はブルハのベースのカワちゃんがまたやってきた。ひとしきり喋ってから、「タバコ吸いに行こうか?」ということになり、表に出てみたはよいがあまりの寒さに負けて、駐車場に駐めてあったカワちゃんの車の中で吸った。そんなところでも、毎日のぼくのこの限られた生活空間にはない場所だったので、ぼくにとっては新鮮だった。
 カワちゃんは、「今度はもうちょっと早く来るからさあ、病院を出てメシを食いにいこうぜえ」と言ってくれた。そんなことが可能なのかわからないが、その気持ちがうれしかった。

 体調はまずまず落ち着いている。微熱が続いているがそれ以上の高熱になることもなく、フラフラするのも治まっている。ただ、しりだけが痛い。鎮痛剤はもはや麻薬系のものにまで強くなったが、どうも効果の方はいまひとつである。
 ベッドに座って身体を起こしているのがもっとも圧迫されて痛い。したがって、ベッドに乗るとついからだを横たえてしまう。すると、いつものことながら眠ってしまう。しりのおかげで毎日の生活はすっかりそんな具合になってしまった。

 病室は何人かが年末の一時退院とかで出て行ってしまったので、残ったのはぼくと、向かいのひとのふたりだけになってしまった。他の病室でも空床が目立つようになった。しかしいくらなんでも六人部屋に二人これはさみしい。なんだかがらーんとした教室みたいである。
 がらーんとした教室のなかで、ぼくはやっと終わった今日の輸血に合掌した。