貧血がひどい

 朝は寒かったが、日中は風もなくおだやかだった。
 ウトウトして目が覚めたら母親が座っていた。しばらくしてからぼくは、母親の目をかすめるように抜け出してミズキの下へ向かった。母親と二人きりの時間に耐えられなかったのだ。

 ミズキはもうすっかり葉を落して、丸裸である。けれどもその裸の枝の一本一本に新しい花の芽をいっぱいつけている。それはなかなかエネルギーに充ちたよい姿であった。残念ながらぼくはその花を見ることも、また青々と茂った葉を見ることもかなわないが。

 貧血がひどかった。
 おととい輸血をしてもらったが、たぶん今日のヘモグロビン値は8.0を下回っているだろう。加えて尻が痛くて痛くて、歩いているときはもちろん、立っているだけで激痛であった。歩けば貧血で冷や汗が出て来て、何度も休まねばならなかった。
 それでもミズキの下へ行く。
 タバコにもすっかり弱くなり、一本吸ったら気持ちが悪くなる。
 それでも吸う。うまいときはうまい。
 タバコ吸いというものはそういうものである。

 しかしこう体調がわるいと、さすがに自分は病気なのだと思い知らされるものである。普段が元気すぎるのだ。
 病気だと思い知って、少しおとなしくしていたほうがいいのかもしれない。