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隣のオジサンは声がでかく、そして臭かった

 こう寒くなってくるとイップクもつらいものである。
ジャンパーを着て、もらったニット帽をかぶって、ネックウォーマーも忘れられない。それでもなお寒い。

 最近タバコにめっきり弱くなり、本数が減った。
 以前は一日に十本くらいは吸っていたのだが、今では一回に一本しか吸えなくなってしまったので、一日に多くても五、六本である。少ない日は、こないだも話したとおり二、三本の日もある。
 そうなってくるとなおさら弱くなるもので、もう今では吸うたびにくらくらして、下手をしたら気持ち悪くなっている。
 わざわざ寒いなかを吸いに行って気持ち悪くなるくらいなら、行かなきゃいいじゃんとお思いの方もいらっしゃるだろうが、それでも行くのがタバコ吸いである。たまにヒジョーにおいしい。まだまだやめられるものではない。

 昨日、関さんが来てくれたときに、面白いことをやってくれた。
 ベッドで仰向けになっているぼくの手と頭に両手を置いてじっと目を閉じ、しばらくそのままでいた。終わってから、
「今、気を入れたから」と。
 確かに熱が下がってきて、身体が楽になってきた。そういうことがあるものなのだな。
 関さんはじっとぼくの目を見て真剣なな顔つきで、「龍之介、あきらめるなよ」と、ひとこと言った。それが妙にぼくの心に突き刺さった。

 昨日、三人退院して、三人入ってきた。出戻りも一人いる。つまり部屋の住人の半分が入れ替わったわけだが、よっこらはあいかわらず入口でひとりテレビばかり見て、あはは、などと笑っている。よっこらしょ、どっこいしょも変わらない。
 それはまあ入口のところだからまだよいのだが、ぼくの隣にへんなオジサンが入ってきた。声がやたらと低いのだ。そして大きい。
 いい声だと思えばたしかによい声で、下手をしたら声優にでもなれるほどの声なのだろうが、残念ながらご本人は耳が遠くなっているのか必要以上に声が大きく、活舌が非常に悪いので何をしゃべっているのかよく聞き取れない。それが遠慮会釈なく周りの人の耳に飛び込んでくるというわけなのだ。
 そのオジサンが夜になっても奥さんとおぼしきひととずっと大声で会話しているので、さすがに、
「あのう、申し訳ないのですが、もう少し小さな声でお話いただけませんか」
 と慇懃にお願いした。あまり効果はなかったようだが。
 オジサンんはさらに問題があった。
 匂いである。
 夜中、目が覚めたらひどい匂いがしたのだが、オジサンのベッドのほうから漂って来る、体臭とも口臭ともつかぬ匂いで、それは強烈な匂いだった。どうしたものかと迷ったが、さいわいリセッシュを持っていたので、ベッドの境い目のカーテンにたっぷり吹きかけてバリアにしてなんとかしのいだ。
 このオジサン、いつまでいるのかわからないが、ずっといるのじゃ嫌だなあ。

 今日も空には雲一つない。