週末は外泊

 昨日の風がおさまって、空気がキュッと締まった。
 ミズキは風でだいぶその葉を落してしまったけれど、それもうつろいゆく自然の姿である。
 今日で十一月も最後である。明日から師走。
 入院患者にとっては師走だからとくにどうこうということはないのだけれども、それでもなんとなくせわしない気分になるものである。
 今週末、三日、四日と外泊の許可が出た。
 普通に考えたら今のぼくは外泊などもっとも危険な状態である。好中球は今朝の採血で百しかないし、ヘモグロビンも7.2で貧血状態である。主治医もこれが最後とみてのサービスなのだろう。
「生ものなどは? 食べてもいいですか?」
 聞いてみた。
「普通に考えたらダメですよね。でも、いいですよ」
 これもサービスの一環なのだろう。「ただし、食べれば食べるほどリスクは増しますよ」と釘を刺されたけれど。なにせ味気のない茹野菜しか出されない身としては、外泊で食べる生野菜のサラダなどが非常にうまいのだ。

 外泊は新宿へ行く。
 ぼくの家はもうないけれど、妻が住んでいるのだ。
 あの喧騒、高層ビル、タクシーと酔っ払い。やはりぼくが帰る場所は新宿なのだ。
 電車での移動はまたきついだろうなあ。しかしもうこれが最後なのだから、這ってでも行くのだ。