近況

 森の梢の上に、十三日のおぼろ月が丸く輝いていた。
 夜風が頬に心地よい。そんな夜であった。

 昨日は一日のほとんどを寝て過ごした。
 ベッドに横になったが最後、寝てはいかん寝てはいかんと思いながら眠ってしまう。何か用事をする、ベッドに戻る、横になる、寝てしまう、その繰り返しの一日であった。
 今日はとくに見舞客の予定もなかったので、それでも問題はなかったが、これではまわりの眠りジジイたちとおなじではないか。いかに病人といえども、こんなに昼間から眠っていてはいかんいかんと思いながら寝ていた。

 もともと睡眠の安定しているほうではなかった。
 なかなか入眠できない、中途覚醒する。それでミンザイを飲んでいた時期も短くなかった。最近はわりと安定していたほうであったが、それでも夜中に何度もトイレに起きた。父親が使っていた「しびん」を見て、よほど自分もそれを買おうかと思ったくらいだ。今はわりと眠れているほうだが、やはり夜中に何度かトイレに起きる。

 ここ数日、体調は安定している。熱が出ることもない。解熱剤を変えたのだ。それを八時間ごとに飲む。六時、十四時、二十二時だ。
 これが功を奏しているものとおもえる。
 この新しい薬は腫瘍熱に効果があるらしい。腫瘍で熱が出るらしく、白血病でも病気そのもので熱が出ることがあるらしい。あの高熱は、やはり白血病大魔王の熱そのものであったのだ。

 貧血は前にも書いたとおり徐々にわるくなってきていて、だんだん歩くのがしんどくなってきた。
 他にはとくに不調なところはない。下痢も漏らすほどではなくなってきたのでありがたい。

 いつまでこの状態が続くのだろう。いい換えれば、いつになったら歩けなくなって寝たきりになってしまうのだろう。そうなったらトイレにも行かれないではないか。
 そこが目下の心配事である。