余命、ひと月半

 余命ひと月半を切った。
 しかしまだなんとか歩けている。高熱が出たときはベッドでひいひい言っているが、それ以外のときは比較的まだ元気にしていられる。

 近ごろ思うことがある。
 この病室は六人床で、けっこう頻繁に患者が出入りするのだけれども、どのひとも大抵は快方に向かって治療をしている。しかしぼくの場合は逆なのだ。そこには埋まる事のない大きな解離がある。
 あんた達は良くなってここから出てゆくのだろう、けれどもぼくは生きてここから出ることは、ほぼ望めないのだ。
 それはうらやましいとか、そういう感情ではなく、ぼくはこのひと達とは違うのだなという一抹の寂しさとでも言おうか。そんな思いである。

 昨日は久しぶりに誰もお見舞いに来なかったのでゆっくりしていたが、朝から熱が上がって、昼ころまでまた四十度でひいひい言っていた。最近は、昼と言わず夜と言わず、一日に一回は四十度の熱が出るようになってきた。これが白血球大聖王が白血病大魔王を攻撃している熱ならよいのだが、その逆だとちょっとやりきれない。ともあれ病状は一進一退の状況らしい。そして夜もまた四十度の熱が出て、これが今朝方まで続いた。
 今、いちばんつらいのが、毎日襲い来るこの高熱である。今までの副作用の高熱のようにどこかで治まってくれればよいのだが、これが最後まで続くのではいやだなあ。

 今日もお見舞いの予定は入っていない。
 しずかな午後である。