人情にあつい男たち

 もうすっかり寒くなってしまったので、特に朝などはミズキの下へ行っても寒いのが先に立ってしまって、そそくさとイップクして戻ってくるばかりで心が休まらない。

 明日で、主治医から余命二か月宣告を受けて二週間になるのだけれど、どういうわけだかまだ歩けている。ここ二日ばかりは夜中の高熱も出ず、身体もそれほどつらいというわけでもないので、なんだか死ぬ気配というものが皆目感じられない。ぼくはほんとうに死んでしまうのだろうか。
 ほんとうにこの病気はよくわからない病気で、その後のぼくの白血病細胞とドナーとのたたかいもどうなっているのかよくわからない。

 さて、今月に入ってからというもの、ほぼ連日誰かしらがお見舞いにやってきてくれている。
 きのうは亀さんが来てくれた。彼は知る人ぞ知るベーシストで、甲本ヒロトブルーハーツを結成する前にやっていたコーツというバンドのベーシストである。僕とはそれほど親交が深かったというわけではないのだが、それでもこうして遠路はるばる来てくれるという義理堅い男である。
 途中で母親がやってきたが、亀さんがいたのでそそくさと帰って行った。

 ともあれ、バンド関係からもすっかり遠ざかって久しいぼくのようなもののところにどうしてみんなそんなに会いに来てくれるのか不思議なのだが、それだけ彼らが義理堅く人情に篤いということなのだろう。ありがたやありがたやである。