二度目のドクター面談

 先日の主治医面談のときに、ぼくは院内オールエリアパスにしてもらった。もう売店にもミズキにも自由に行けるのだ。ついでにタバコもまた公けに黙認である。
 今朝は三十九度の熱があったが、解熱剤を落してもらって這うようにミズキの下に行ってきた。雨上がりのひんやりした朝の森の空気が心地よかった。薄霧につつまれた竹やぶがみずみずしかった。

 今のぼくは、熱のせいもあるだろうが、血中の酸素が足りていない、つまり貧血状態なせいでちょっと歩くとすぐに動悸息切れがする。サチュレーションもあがってこない。これはこの病気にかかった最初のときと同じ症状だ。あの、階段五段で息があがっていたときと。
 あのころは毎日七度台の微熱が続いていた。もし、今のこの熱がおなじような熱で、病勢が強くなったせいで高熱になっているのだとしたら、もう下がることはないのかもしれない。相変らず熱の原因は主治医もまだわからないでいる。

 さて、昨日は午前中はがん相談センターのひとと面談して、午後からは母親を交えてドクター面談だった。
 母親は、ぼくの今のこの状態についてはじめて聞かされ、涙こそみせなかったものの、言葉をなくしてがっくりとうなだれていた。
 無理もない。たった一人の息子が自分より先に、しかもあとわずか二か月で死んでしまうと聞かされたら誰でもそうなるだろう。可哀そうだがこればかりは致し方ない。
 ことによると、死にゆく人間のほうがまだましなのかもしれない。ほんとうにつらいのは残された者たちであって。

 それにしても二か月とは短い。短すぎる。ぼやぼやしていたらすぐではないか。その二か月のうちでも比較的元気でいられるのはどのくらいなのか。いま一度主治医にしっかりと聞いておく必要がありそうだ。でないとあれこれ整理が追い付かない。