魚は食えん

 血球がなかなかスーッと上がって来ない。
 血球を増やす薬を入れるとぴょんと上がるのだけれど、また落ちてしまう。血小板も上がらないので、毎日のように輸血でおぎなっている。
 それでも主治医は「順調です」と言う。ひょっとして、この人の言う順調の定義ははげしく幅が広いのではないかと思うが、まあ信じて任せておくしかないので、「そうですか」と聞いている。

 夕食に魚が出たのでひと口も箸をつけずに下げてもらった。
 ここへ来て以来、すっかり魚ぎらいになってしまった。いや、新鮮な材料を普通に煮たり焼いたりしてくれれば、おそらくおいしくいただけるのだろうが、冷凍のわけのわからん素材を、味もろくにつけずに温めただけのような魚は、気持ち悪くてとても食べられたものではない。いつかの昼食に最後に食べた照り焼きという名の、ぶわぶわした白身の味の薄い魚が脳裡をよぎった。それ以来昼食はすべてキャンセルしている。
 そういうわけで、今日もばんめしはどら焼きと牛乳である。