好中球数二千

 今の病室は、裏の森の方角に面している。森は窓からは見えないが、その向こうの駅の方角の景色がよく見える。
 森の先が駅へ向かってなだらかな斜面になっていて、民家がたくさん立ち並んでいる。道路はほとんど見えない。斜面をずっと上った駅の周辺には大きなマンションも見える。
 斜面のあたりは古いエリアなのだろう、大手デベロッパーが開発した団地ではなく、昔ながらの住宅地で、なかなか落ち着いたたたずまいをみせている。午後からは太陽がこちらへまわってきて晴れている日は眩しいが、空が広いので、駅の向うに沈みゆく夕陽がなかなかうつくしい。

 まあ、まずまずそんないい景色が広い窓いっぱいに広がっているのだけれど、ぼく自身はなかなかこの部屋に馴染まない。トイレが遠いとかシャワーが遠いとかそういう面倒もさることながら、部屋全体の雰囲気に馴染めないと言ったらいいのだろうか。

 好中球数は今朝の採血で二千まで上がってきた。白血球全体でも正常値の下限が三千三百のところ、二千六百まで上がってきた。その代わり血小板が八百まで落ちてしまったので、今朝から鼻血が止まらない。
 熱は微熱が上がったり下がったりで、熱だるさは変わらない。
 そんな風に毎日何らかの小さい症状が入れ替わりで出てくるが、主治医の話では全体的には順調に運んでいるとのことなので、これでいいのだろう。

 そんなわけで、まだ身体を垂直に起こしていると若干つらいので横になろう。