一難去って、また一難

 血球数が二百に上がった。まだまだ正常値までは桁がひとつちがうが、紙の上でこうして目に見えて数字が上がってくるとうれしいものでさる。それにともなって口内炎もひと晩ですこし良くなった。こころなしか喉の奥の痛みも和らいだ気がする。このまましっかり血球が生着して増えてゆくのを待つばかりである。

 血球数のほうはよいのだが、ここへきて問題が発生した。今まで止めていた免疫抑制剤をまたつないだのだけれど、また肝臓の数値が悪化してしまったのだ。
 どうやらぼくの肝臓は免疫抑制剤との相性がよろしくないようである。かといって免疫抑制剤を使わなければGVHDのコントロールができない。主治医はちょっと困り顔であったが、「まあ、やり方はいろいろありますから」とお茶を濁すように言っていた。詳しいことはぼくにはもうわからないが、ここらへんがたぶん腫瘍血液内科医としての腕の見せどころなのだろうから、しっかり頼みますね。

 明日は十月五日。この部屋に入ってからちょうど一か月になる。そんなこんなで、当初の予定よりも退室が遅れている。いつになったら出られるのやら。もうちょっとしっかり生着して、もうちょっとなんとか免疫抑制剤との折り合いがつかねば無理だろうなあ。
 いつか、そんなこんなが解決して、この部屋からめでたく解放され、ミズキの下へ行って心ゆくまでイップクするのだけを楽しみに、じっとここで息を潜めていよう。