回復傾向にアリ

 雨が降ったりやんだりの一日であった。
 そんな天気のせいか午後まで眠くてしかたなかった。今は何かの作業をするのにもベッドに座ってベッドテーブルで行っているのだけれども、ふっと身体を倒して水平になってしまうとそのまま眠ってしまうので困った。今ではそこまで持ち越すような強い薬は飲んでいないので、やはり天気のせいだったのだろうか。
 午後の三時ころになってようやっと頭がハッキリしてきたので長編の読み直しの続きをやった。

 雨の日には雨の日用の雨天イップク場というのがある。滅多に人がこない場所で、しかも軒下なので雨がしのげるのだ。しかし完全に敷地内なので本来ならばご法度なのであるが、ほかに行き場もないのでそこで吸う。タバコ吸いというのは、雨が降ろうが、槍が降ろうが、熱があろうが、点滴ポンプがあろうが、這ってでも吸いにゆくのだ。何と業の深いことであるか。

 ネッパツから十日目、体温がやっと三十六度台であることが多くなってきて、三十八度を超すことはまずなくなった。だるさもだいぶましになってきたので、非常にゆっくりとではあるが体調は回復に向かっているものと思われる。
 目下の最大の悩みは咳である。痰も出る。そして今日あたりは鼻までぐしゅぐしゅしてきた。これはほとんど風邪の症状ではないか。そして749号室で今、咳をしているのは窓側の二人(僕とオーハシさん)である。最初に咳をし出したのは向かいのオーハシさんなので、僕はひそかに彼の風邪をうつされたのではないかと思っている。咳をするひとは病室でもマスクを常時着用してもらいたいと思って看護婦にそれとなく言ってみたのだが、はなはだ要領を得ない返答であった。もちろん僕は今は常時マスクをしている。
 ともあれ外泊まであと四日なので、ここで体調を整えておかねばならない。