訴訟開始

 今日からまた抗がん剤治療が始まった。地固めの三回目、最初の治療から数えると四回目である。薬の内容は毎回微妙に違うのだが、それでも四回目ともなると慣れたものである。どうせまた熱発と湿疹と劇症しゃっくりが来るんでしょ、下手すると口内炎も来ちゃったりするんでしょと。
 この副作用というやつが、投与と同時に現れればまだよいのだろうが、投与終了後一、二週間目くらいがピークだというのが、ちとやっかいなところである。

 さて、今日はちょっといやな話である。
 訴訟が一件はじまった。民事訴訟である。
 原告は僕、被告は僕が馬車屋で九州にいたころに世話になった人――仮にS氏としておこう――である。
 S氏は、うちのコンサルタントのようなことをやってくれていて、馬車については何も知らなかった僕にあれこれ教えてくれていた。
 で、馬車屋をやるには馬運車が必要だというので、彼に任せて探してもらい、適当なものがあったので彼を通して購入したのだ。
 その時すでに、僕は彼の本性を見極めていたので、おそらく数十万円は抜いているなと判断したが、まあそのくらいは目をつぶろうと僕は思った。しかしある筋から聞いたところではその数倍、つまり百万円単位で抜いていたことが判明した。
 いやいや、いかになんでもキミ、それはやりすぎだよ、ということで、S氏は即刻解雇(解約?)した。その点を追及しても、のらりくらりと逃げるばかりでらちが開かない。仕方がないので、もう大分時間が過ぎてしまったが、訴訟という公の場で決着をつけることにしたのだ。
 S氏のことは今でも好きだし、会えばきっと酒のひとつも酌み交わすだろう。しかし彼のやったことは許すわけにはいかない。
 裁判の結果がどう出るかはわからないが、そこはきっちりけじめをつけておかねばならないのである。
 こういう人と、こういうことで訴訟ごとをしなければならないのは悲しいことであるし、時間とエネルギーの無駄であるが、致し方ない。彼の友人にも似たような人がいたが、その話はまたいずれ。