外泊終了しました

 ドタバタの外泊が終わり、ちょっと早めに病院に戻ってきた。
 アパートに一人でいても面白くもないし風呂にも入れない。病院に戻ってシャワーを浴びて、自分のベッドにごろんと横になって「ふう」と落ち着いた。なんだかすっかり自宅より病院のほうが落ち着くようになってしまった。僕も病気のプロになってきたのだろうか。
 いちおう備忘のために外泊事情を書いておこう。
 一日目は新宿泊。不動産会社の友だちと会って、あれこれ書類を取り交わした。そしてマンションに置きっぱなしになっていた自転車を回収した。
 二日目は明治神宮の菖蒲園に行った。森はひんやり涼しく、今が見ごろの菖蒲がキレイであった。その後、横浜の母親のところへ行ったのだが、ちょっと気持ちが落ち着かなかったので泊まらずに柏へ。
 三日目は柏にいたのだが、何をしたか覚えていない。多分一日中寝ていたのだろう。
 そして今日が四日目である。
 市役所と自動車屋へ行き、昼にとんかつを食べ、二時前には病院に戻った。病院に戻る前に、最後にとんかつを食べるのが習慣になってきた。
 
 病室は、タカハシさんがめでたく予定どおり退院し、かわりにサダさんというひとが入っていた。三十代とみえる若いひとで、一見普通のひとのようであった。この「普通のひと」というのは非常に大事なことである。ちょっと普通でないひとが続いていたので、サダさんがほんとうに普通のひとであることを願うばかりである。
 ファンキーKことカワムラさんは相変らずひとり言の王者で、何をするにもひとり言を言わないことはない。
 まあつまり、749号室は、僕とイーダさん、ファンキーKにサダ青年の四名となったわけである。
 
 明日から抗がん剤治療がまた始まる。今回は地固め療法二回目で五日間の予定である。
 僕はベッドから見慣れた森の風景を眺めて、もう一度「ふう」とため息をついた。