人間、誠実がいちばんなのである

 本日朝の十時、めでたく抗がん剤二回目の投与が終了した。
 僕の点滴棒から重いポンプと電源コードが取り外され、水の点滴一本がぷらんとぶら下がっているのみになり、これでいつでもどこでもほぼ不自由なく行ける状態に戻った。これはかなりの解放感なのでうれしい。たった五日間ではあったが、やっと終わったかと。
 まだしゃっくりとかゆみはあるが、これもほどなくおさるものと思われる。
 
 そしてさらにありがたいことに、本日、マシンガン氏もこの部屋から一般病室へ御遷座ましました。これは病院のはからいなのだが、まあ体よくこの部屋から追い出されたわけで、これで僕の現在のストレスの原因はほぼ解消されたといっても過言ではない。僕だけではない。イーダさんもタカハシさんも、それなりに不満は感じていたはずである。しかして749号室はふたたび平穏をとりもどしたのである。
 
 といってもイーダさんが今日からまた外泊でいなくなったので、病室はいきなり僕とタカハシさんの二人だけになってしまった。そして僕のベッドからはふたたび窓が見渡せるようになって、いたってひろびろ開放的になったのである。
 さらに、今夜からあのマシンガンいびきに悩まされずに済むと思うとたいへんありがたい。氏がどちらに御遷座されたのかはわからないが、その部屋の方々には申し訳ないが、まあせいぜい仲良くやっていただきたいものである。

 そんなわけで今日は気分がよろしかったので、午後から新聞に載っていた昨日のオバマ氏の声明を英文と和訳で打つという作業をやった。僕がいかにヒマかというのがよく理解できると思うが、こういう勉強はこういうときにしかできないものだ。いや、勉強になるかと思ったが、なにやら小難しい言葉を並べ連ねていてさっぱり効果はなかったようだ。
 
 話がオバマ氏にとぶが、彼は大統領就任直後から広島に行きたがっていたらしく、ずっとその機会をうかがっていたとのことで、今回退任間際にしてようやくその機を得た。黒人だからという意味あいもあるのかもしれないが、国内のあらゆる反撥を乗り越えてえらいひとであると僕は思う。広島での彼の立ち居振る舞いは、けっして政治的なそれではなく、真摯な誠実からのものであるように僕の目には見えた。

 人間、やはり誠実がいちばんである。