ブチョーの白衣はモテスリム

 さて、毎回重い話ばかりでは息が詰まるので、今回は軽く。
 
 ここJK医大病院は看護婦のユニフォームがとても変わっている。パンツにVネックのシャツで、おさかな柄や動物柄なのだ。一見すると保育園の先生のようである。
 看護婦といえば白のワンピース、補助員は白の上衣に白のパンツだとばかり思っていたが、その定番の白ワンピースは廃止になってしまったらしい。おさかなや動物は斬新といえばたしかに斬新なのだが、そのねらいどころが今ひとつよくわからない。
 
 看護婦はそれが病院のユニフォームとして統一されているのだが、ドクターのほうはそれにも負けず個性的である。基本的に何を着ても自由らしいのだが、いわゆる昔ながらの白のコートタイプを着ている人はあまりおらず、丈の短い上衣が多い。
 中でも特筆すべきはブチョーである。
 ブチョーというのは血液内科部長のことで、つまりここではいちばん偉い人ということになる。
 
 週に一回、水曜日に部長回診があって、医長以下医員や研修医などをぞろぞろ引き連れてまわってくるのだけれど、その先頭のブチョー先生の衣装が凝っているのだ。
 年のころなら僕とどっこいくらい、ちょっと長髪にメガネのブチョーの白衣は時代の先端的に尻がすっかり見えるほど丈が短く、というよりつんつるてんで、スリムなボディを強調するかのごとく細身である。つまり最近の若いビジネスマンなどが着ているモテスリムジャケット様なのだ。そしてご丁寧に袖口には飾りボタンが五つくらい並んで縫いつけられている。
 細身でメガネで、いかにも僕オシャレでしょ的ブチョー先生は、一見すると『坊っちゃん』に登場する赤シャツを連想させる。いや、赤シャツならぬ白ジャケである。もし赤ければ紅ジャケだ。
 
 まあしかし、そうは見えても大学病院のブチョー先生なのであるから、それなりの経験と実績を備えているのだろう。回診時には若い研修先生などに「うん、それは○○だから△△と説明して?」やら、「そこでね、□□などの情報も入れてくれると僕としては理解しやすいね?」などと指導している。
 
 僕のような古いオジサンは、やはり医者というからには、あの白いコートタイプの深いポケットに両手を突っ込んっで、裾をひるがえしながら歩く姿がカッコイイと思ってしまうし、看護婦は白のワンピースで、床に落ちたものを拾うときなどにちょっと見えそうで見えない的なのがぐっときてしまうのだが、それはもう古いのだろうな。