新春殺人事件(2)

 そういえば、入口の駐車場にテレビ局の中継車が長いアンテナを空へ伸ばして停まっていた。
 ロビーには普段はみかけない、黒いジャンパーの、いかにも「局のひと」的なあんちゃんがいた。

 人口40万人。
 都心のベッドタウンのこの平和な町では、それはきわめて異例のでき事であった。

「昨日今日は、もうバタバタたいへんですよ」
 隣のテーブルでオヤジが言った。

「なんかあったんですか?」
「殺人事件だよ……」

 オヤジは僕の顔を覗き込み、そんなことも知らんのかと言わんばかりにぼそっと言った。

「はぁ、いつですか?」
「昨日」
「どこで?」
「○○沼の……、なんだっけかな? 川があるだろ? その橋のところ」

 オヤジの話はまるで要領をえなかったが、なるほどそれでテレビ局が来ていたのだな。

 しかしここでオヤジの話し相手として捕まってしまうと抜け出すのは容易ではないと判断した僕は、早々に食事を終えて警察署を出た。
 門の外にテレビカメラを構えたあんちゃんがいた。

 帰宅してから、ネットのニュースを検索してみた。



新春殺人事件(3) - オマエらふざけんなよへつづく