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白血病闘病記

今日から個室

病状がまた一歩進んだということなのだろう。一床しかないベッドのまわりはひろびろとりている。また個室に戻ったのだ。しかし先日の無菌室よりうんと広い。ナースステーションのすぐ前にあるので、何かあったらすぐに対応できるようにとのことらしい。 そし…

またまたさぼっておりました。

がんばって毎日書かねばと思った矢先に、正月も早くも二週目に突入してしまった。ご心配のむきにはもうしわけなかったが、まあなんとか生きているでご安心を。 肝臓の数値が悪くなってきたので、だるさ、倦怠感がひどい。血中の酸素の値も低いサチュレーショ…

正月二日もただしく、うららかであった

いかにも正月といったうららかな日である。 今ふと気づいたのだが、この二日間、ぼくはテレビを観ていない。ラジオも聴いていない。新聞も読んでいない。おせちに代表される正月料理もたべていない。ただひとり、ぽつねんとこのひたすらしずかなこの広い六人…

元旦

新年になった。 元旦だと気付いたのは、今朝、目を覚ましてからである。しかし 元旦だとてとくにめでたく、ぼくの人生はあと月ふた月で終わるのだ。なので個人的にはおめとうとは言わない。 夢? ない。 希望? ない 目標? ない あとわずかで生を終えるとい…

生きています

日記に記すべきことがみつからない。ごめんなさい。 しかし生きています。

となりオヤジがいなくなった

部屋がしずかだ。おそろしほどしずかである。 ついに隣の大声オヤジがご退院あそばしたのだ。今、ベッドは三床空いている。こんなことは珍しいことで、どうせまたすぐに新しいひとが入ってくるのだろうけれども。どうかうるさくないひとであって欲しいと切に…

部屋大入れ替え

深夜二時。 ひとりでタバコをふかしていて、ふいに、「あ、おれももう長いことないかもしれないな」と感じた。 何の根拠も理由もない、そう感じたのだ。 二、三日前、病室では一挙三人が出て行ってひとり入ってくるという大入れ替えがあった。この入れ替えで…

寝言のたたかい

「ったくうるせえなあ! 静かにいてくれよ。寝られやしねえよ!」 午前四時、半覚醒のうちに、自分が隣のベッドのオヤジにむかって発した半無意識のその言葉で目が覚めた。 それまでも、オヤジ延々と続く無声いびきと寝言で、ぼくは眠りの底からほじくりださ…

聖歌隊

昨日は日記が書けなかった。 日記が書けなかったすら書けなかった。 午前中は例によって眠り、午後からは母親がきていた。母親が帰るころには日記を書く元気もなかった。 体調はよろしくない。 相変らず貧血がひどく、しりの痛みも薬を変えて貰ったりしてい…

生きてます

体調が思わしくない。 元気です、の次の日に、思わしくない、もないもんだが、ここ数日、一週間くらい続いているのだ。 まず貧血。今までは赤血球をちょちょいと点滴してもらえば回復したのだけれど、今回は数字が上がっても貧血状態が残る。 続いてしり。歩…

元気です

諸般の事情で日記が書けませんが、元気にしとります。

貧血がひどい

朝は寒かったが、日中は風もなくおだやかだった。 ウトウトして目が覚めたら母親が座っていた。しばらくしてからぼくは、母親の目をかすめるように抜け出してミズキの下へ向かった。母親と二人きりの時間に耐えられなかったのだ。 ミズキはもうすっかり葉を…

隣のオジサンは声がでかく、そして臭かった

こう寒くなってくるとイップクもつらいものである。 ジャンパーを着て、もらったニット帽をかぶって、ネックウォーマーも忘れられない。それでもなお寒い。 最近タバコにめっきり弱くなり、本数が減った。 以前は一日に十本くらいは吸っていたのだが、今では…

昔の仲間たち

今日も朝から熱が九度ほどあってだるかった。 熱はほどなく下がったのだけれども、熱だるさだけはずっと尾を引いて、夜に入ってやっとすこし気分がよくなったようだ。 そんな中ではあったが、昼ころ妻が来て、その後ベースの関さんとギターの葉山さんが別々…

眠くて眠くて

眠くて眠くて、一日中眠っていた。 朝、九度の熱があったので、そのせいもあったかと思うが、熱はほどなく下がった。 イップク散歩にも二度しか出なかった。タバコも一日二本まで少なくなると、ひと口吸うたびにくらくらくるものである。 CV(首につけてい…

余命

余命の話の続きである。 ぼくの余命は、十月にあと二か月だと宣告された。それがそのとおりならそろそろ死に時なのだけれども、十一月の終わりに「もう二、三か月でしょう」と訂正された。つまり現状では来年の一月か二月まででということである。 ところが…

しりが……

十三時。 精神科のドクターが来て話をしたので、やっとそれで起きた。今日も午前中はずっと眠っていた。 寝起きの気分がヒジョーによろしくなかったのでデパスを飲んだ。 昨日から八度台の熱が出ているので、いつもは十四時に飲む解熱剤をはやめに飲んだ。 …

今日は日記が書けなかった

昨日の夜、病院に戻ってきた。 しかし今日は午前中は寝ており、午後からは母親が来ていたので日記が書けなかった。 明日からまた再開します。

ノロノロフラフラ

今日も一日ベッドの上でゴロゴロうつらうつらしていた。 ここ2~3日ずっとそんな感じである。微熱もあるし、歩く姿はノロノロフラフラ幽霊歩きである。こんなんでぼくは新宿まで行って帰って来れるのだろうか。 ひとまず明日の日記はお休みである。

すみません

今日は一日中うつらうつらと眠っていたので、日記が書けませんでした。 すみません。

クマ女

くもりである。おだやかな朝だ。風もやんだ。 週末が妙に暖かかったので春と勘違いしたのか、白い花の芽をぷっくりとふくらませたハクモクレンは、昨日の寒風にすっかりまたその身をちぢこまらせた。 ぼくはまだ外泊前に輸血した赤血球が残っているのか、ス…

また外泊ですか?

「来週もまた、外泊行きませんか?」 主治医がぼくの顔を見てそう言った。 「は? 来週もですか?」 耳を疑った。体力のほうは赤血球の輸血で何とかなったとしても、ぼくの好中球はずっと百とか二百である。細菌やウィルスに対する抵抗力はほとんどないに等…

新宿の街は、あいかわらず猥雑だった

夜中に雨が降ったのだろう、地面が濡れていた。 そう言えば昨日の昼間、タクシーの運転手が、「今日はこのあと雨になるらしいですよ」と言っていた。 空気はしっとりと湿り気を帯び、朝の森では薄もやにかかる太陽の光が線になっていた。 新宿の街は相変らず…

本日のブラスト(芽球)、51%

やけに朝焼けのきれいな朝だった。 朝焼けの日は日中天気がわるくなるというが、それに反して日中も晴れた。風は冷たいけれど。 本日の好中球は百。ブラスト(芽球)はなんと五十一%に跳ね上がった。この状態で新宿の雑踏の中を歩くなど、神風特攻隊なみの…

余命が伸びたところで……

師走のスタートは雨模様となった。窓から見える景色が雨に煙っている。 今日は、意を決して、外泊に向けてうずらのようにぽわぽわと伸びた髪を刈ることにした。刈るためにはシャワーに入らねばならない。この病室に来てからシャワーに入るのは、えらく久しぶ…

週末は外泊

昨日の風がおさまって、空気がキュッと締まった。 ミズキは風でだいぶその葉を落してしまったけれど、それもうつろいゆく自然の姿である。 今日で十一月も最後である。明日から師走。 入院患者にとっては師走だからとくにどうこうということはないのだけれど…

余命3か月

余命がのびた。 といっても、十二月までだったものが、一月か二月までになっただけのことなので、ほんのひと月かふた月のことである。 ひと月ふた月でも伸びたのだからうれしいという気持ちは当然あるが、その反面、どうせ死ぬのであれば、ひと月ふた月と蛇…

漏らしたパンツを洗うのはみじめなのだ

洗濯をした。 これがちょっと面倒な洗濯で、ただコインランドリーに放り込めばよいというものではなかった。 じつは先日、うんこをちょっと漏らしてしまった。そしてパンツはもちろん、ズボンまで汚れていたのだ。したがって、これを洗濯機に入れる前に、汚…

元妻現る

「あ、思ったより寒くないな……」 そう感じた。 夜の間に雨でも降ったのだろうか、空気がやさしかった。 朝六時。起床時間に目が覚めた。いつものように体温、体重などを計ってから、朝のイップクをしに外に出た。体調はわるくなさそうである。ミズキの下に座…

谷川くんがやってきた

雪の翌日は雲ひとつなく晴れた。 雪の翌日の晴れというのはいいものである。雪が光を反射して、景色はまぶしいほどに明るい。前夜から凍り付いた道路は陽の光で溶けだし、日陰にわずかに雪が残っている。時おりザザッと民家の屋根の雪が滑り落ちる。平和その…

カワちゃんがやってきた(死にゆくものの気持ち)

朝からの雨が、間もなく雪に変わった。 こんな時期に雪が降るなぞ、関東では珍しいことである。雪で難渋しているひと達には申しわけないが、ここにいるぶんには、窓から見える景色が一面銀世界になって新鮮である。 昨日は一日のんびりと過ごしていたが、夕…

ともぞうあたま

雨上がりである。 昼ころ、午前中の点滴を全部終えてから、森へ行った。キンと冷たい空気が心地よかった。やっぱりぼくは暑いより寒いほうが好きだな。 髪がぽつぽつと伸びて来た。 ともぞう状態である。また御前様刈りにしたいのだけれど、風呂に問題がある…

送るひと達

「あら、千葉さん、今日は顔色がいいですね」 点滴を吊るしに来た看護婦が言った。 そういえば、今日はわりとスタスタ元気に歩ける。昨日もらった輸血の赤血球が濃かったのだろうか。ふだんは輸血をしてもここまで変わることはない。 そんなわけで、スタスタ…

デブがいないしあわせ

朝五時前に目が覚めた。 起床時間は六時なので、もうしばらくしないとみんな起きてこない。 トイレに行ってうがいをし、ナースステーションの前で体重と血圧を計ってきた。今朝の体重は六十四.九キロ。今は一日二食食べているから、ほとんど増えも減りもし…

献血の有効利用について

どんよりと曇りである。 天気予報では、夕方には雨が降るらしい。 今はそうでもないが、無菌室に監禁されていたころは、曇りの日が好きだった。晴れていると陽射しの刺戟が強すぎてカーテンを閉めていた。あらゆる刺戟に対して敏感になっていたようだ。今で…

しずかな日曜

うららかな日曜だった。 ひさしぶりに誰も来ない、しずかで落ち着いた一日だった。 今月に入ってからお見舞いラッシュで、誰も来ない日というのが珍しいくらいであった。中には二度、三度とやってきてくれるひともいて、申しわけないやら嬉しいやらであった…

島くんの帽子

こう寒くなってくると、イップクに出たときにつるぴかハゲ頭が寒い。帽子でもほしいなあと思っていたところへ、先日島くんが来たときに、「これ、おれたちがやってるブランドのなんだぜ」と言って、ニット帽をくれた。 なんとタイミングの良い、なんと気の利…

本日の芽球、8%

芽球が八まで下がった。 これはたいへん喜ばしいことなのだが、一方で好中球も二百から上がらなくなってきた。魔法の注射を打っても一向にあがらない。まさしく白血病と白血球が死闘を繰り広げているのだろう。 体調は相変らずである。昼ころまでは眠くてし…

織田哲郎がやってきた

ついに織田哲郎さんがやってきた。 彼はぼくの大恩人で、当時ブルーハーツを辞めてしばらくした頃の、アマチュアに一本毛が生えた程度のぼくを拾ってくれ、バンドとしてツアーやレコーディングに使ってくれたのだ。 ぼくは織田バンドでプロの何たるかの一か…

本日、芽球14%

暖かい一日であった。 今日も森が気持ちよくて長居した。 今日は輸血が二種類、血小板と赤血球とあったので忙しかった。忙しいという表現はちょっと違うかもしれないが、そのぶん長時間ベッドの上に居なければいけない。べつに点滴をつなぎながらゴロゴロと…

今日もお見舞いがきてくれた

雨上がりの森がしっとりやさしかったので、いつもよりずっと長い時間そこに佇んでいた。 もう、森への往復もかなりしんどくなってきた。そしてタバコも一度に二本吸えなくなった。それでも歩けるうちは行くのだ。 今日も昼過ぎまで寝ていた。 天気のせいか体…

近況

森の梢の上に、十三日のおぼろ月が丸く輝いていた。 夜風が頬に心地よい。そんな夜であった。 昨日は一日のほとんどを寝て過ごした。 ベッドに横になったが最後、寝てはいかん寝てはいかんと思いながら眠ってしまう。何か用事をする、ベッドに戻る、横になる…

真島がやってきた

すっかり寒さがやわらいで、外へ出ると涼しくらいの風が心地よい。 眠くて眠くて目が覚めず、起きたり寝たりしながら昼過ぎまで寝てしまった。たまにそういう日があるのだ。 今日はお見舞いの予定がないので、のんびり過ごしている。 ビダーザの注射が終わっ…

ハクモクレン

すっかり晴れて、病棟に切り取られた四角い空に白い雲がぽっかり浮かんでいた。 ミズキの下も久しぶりに寒さがやわらいで落ち着いていた。木漏れ日が暖かでいながら、空気がキンと冷えて頬に気持ちよかった。時おりどんぐりがカランカランと落ちてきた。 こ…

葉山さんがきた

寒い雨の一日だった。 午後からギターの葉山さんが来てくれた。川崎での仕事を終え、関西まで帰宅する前に、寸暇を縫う様に、しかも週末の渋滞の中をこんなところまで足を伸ばして来てくれたのだ。 葉山さんといえばレコード会社ビーイングの全盛期を支えた…

ぼくはきっぱりとあきらめた

「先生、それは今後の見通しに変化は生じないということでしょうか」 「はい」 主治医のその言葉を聞いて、ぼくはきっぱりとあきらめをつけた。 来年にはぼくはもうこの世にはいないのだ。根拠のない希望は一切捨てようと。 今日の主治医面談でのことである…

余命、ひと月半

余命ひと月半を切った。 しかしまだなんとか歩けている。高熱が出たときはベッドでひいひい言っているが、それ以外のときは比較的まだ元気にしていられる。 近ごろ思うことがある。 この病室は六人床で、けっこう頻繁に患者が出入りするのだけれども、どのひ…

今、ぼくの身体のなかでは、生と死がしのぎを削っている

今、ぼくの身体の中では、生と死がしのぎを削っている。 この言葉を頭の中でつぶやくとき、ぼくはなぜか涙が流れてしまう。理由はとくにないのだ。ただ自動的に、無機質にといってもいい、涙が流れてしまうのである。 今月の二日には三十パーセントあった芽…

人情にあつい男たち

もうすっかり寒くなってしまったので、特に朝などはミズキの下へ行っても寒いのが先に立ってしまって、そそくさとイップクして戻ってくるばかりで心が休まらない。 明日で、主治医から余命二か月宣告を受けて二週間になるのだけれど、どういうわけだかまだ歩…

旧交

日に日に朝のイップクが寒くなってくる。 今朝はやけに寒いなあと最低気温を調べたら、六度だそうだ。ジャンパーを羽織っていても寒いわけだ。もうどんどん季節は冬へと向かっている。 さて、今朝の体温は七度七分。昨夜は高熱が出ることもなく朝までじっく…